憑神/浅田次郎

あけましておめでとうございます。

2008年1冊目、浅田作品で幕明けです!

憑神 新潮文庫
浅田 次郎
税込価格 : ¥540 (本体 : ¥514)
出版 : 新潮社
サイズ : 16cm / 357p
ISBN : 978-4-10-101924-6
発行年月 : 2007.5
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

妻夫木くん主演で映画になり、米米のテーマソングが付き

エンターテイメント作品としての面白みと、浅田作品らしい

どうにもならないもの悲しさが絡みつつ、ラスト10ページで

全て総ざらいしてエンディングに辿り着く、見事な作品でした。

彦四郎のことは、読めば分かるというか、読んだ人が

感じるまま真っ直ぐだと思うので、彦四郎を慕う小文吾のこと

ちょっとだけ考えてみようと思います。勉強も剣術も不得手で

世の生き方というか、人との関わり方も、上手じゃなかった

小文吾。彦四郎にとって、彼が最高最上の友という名の

守り神だったんじゃないかなぁと思いました。彦四郎は、最後

自分の死に場所を決めて、そこへの花道も自分で作って

堂々と身代わりとして馬を走らせていくんだけど、その道筋

一度も小文吾に「お前は帰れ」とか「逃げろ」とは言わない。

言ったところで小文吾は、何かそれらしい理由をつけて

引き下がらないことは分かっているし、小文吾のことだから

こっちが何か言わなくても、引き際を分かって、どこかで

自分からいなくなってくれるかもしれないという、言葉が

要らない特別なものがあったんじゃないかなぁと感じました。

たぶん、小文吾は、彦四郎と一緒に死ぬ覚悟が最初から

あって、身を引くことは考えてもいなかったとは思うけど

でも、彦四郎がどんな立派に最後をとげたか、家族に

伝えられるのも小文吾しかいないから、逃げてもいいし

逃げずに彦四郎と戦い抜いてもいいし、小文吾の自由。

この作品の映画化にあたっては、主人公・彦四郎はもちろん

小文吾も、そば屋のオヤジも、気の強い兄嫁も、根性なしの

実兄も、意地悪な元舅も、神様たちも、みんなやりがいある

いいキャラで、みんな楽しかったんじゃないでしょうか。

ものすごいエンターテイメント作品で、コメディだけど

1枚めくると、色んな人の境遇や感情がすごい溢れてて

すくってもすくいきれなくて、その背景に時代は容赦なく

流れていき、人々を翻弄する。時代や世論に流されず

自分やご先祖の義を通し、神の采配にも揺るがされず

自らの死に場所を定め、死んでいく強い魂。見事でした!

次は、田中芳樹さんの「ドラよけお涼様」です。アニメ化?


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

◎地下鉄(メトロ)に乗って->読中ログネタバレ

◎中原の虹・第一巻->26ページ163ページ読了

◎中原の虹・第二巻->50ページ120ページ

◎浅田次郎 新選組読本->感想

◎憑神->感想

| | コメント (0) | トラックバック (0)

浅田次郎 新選組読本

久しぶりに電車に乗って出かける用事があって、電車の中で

読む本は何がいいかなぁと、本屋で30分以上、探して、もう

そろそろ出発しなきゃ、でもまだ決めてない!ってときに

目に飛び込んだのが、この本で、ちょっとめくって、すぐレジに

持っていきました。思えば、私と浅田作品との出会いは

「鉄道員」で、それを初めて読んだのも、新幹線の中でした。

その辺のお話、感想は、こちらをご覧下さい。→鉄道員

浅田次郎新選組読本 文春文庫
浅田 次郎/文藝春秋編
税込価格 : ¥680 (本体 : ¥648)
サイズ : 16cm / 277p 図版16p
ISBN : 978-4-16-721781-5
発行年月 : 2007.9
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

インタビューや、対談、イラスト、地図などが掲載されている

新選組読本、です。作家さん同士が、新選組について語る

のを読むという機会は、あまりないですよね。自分が小説を

書くために集めた資料や、考察から、イメージがどんどん

ふくれあがっていきます。浅田さんの「壬生義士伝」の元に

なっているのは、子母澤さんの「新撰組始末記」なんですが

……私、今回、この読本を読むまで、子母沢さんの始末記は

史実だと思っていました。こっちもまた、かっこいいところは

ほとんど作り話だったなんて~(哀)--史実が、はっきり

してないからこそ、作家さんたちは、自由に描くことができ

読者もまた、それぞれの新撰組を想像することができる。

じゃあ、ホントの新撰組って一体なんだったのか。彼らが

いなくても、明治維新は進んだし、大政奉還にもなった。

事実、歴史上、そんなに重要ポイントでは無いのに

どうして、こんなにも心を捉えられてしまうんだろうか。

古今東西、ヤンキー軍団は目立って不思議にもてる。

一見、悪っぽくみえる奴らは、バカかもしれないけど

芯が無いわけじゃない。やることなすこと、目立つのが

大好きで、揃いの羽織を着て、我が物顔で京を歩く。

威勢のいいこと言って、ケンカっぱやくて、いつのまにか

藩お抱えになってしまい、見栄っぱりの余り、引き際に

上手に退けなくて、五稜郭まで辿り着いてしまう。

帯にも書いてあるんですが、彼らは、決して英雄ではない。

現代人と何も変わらない、等身大の普通の人間です。

この読本を読んで、少し分かってきたかもしれません。


文中で、浅田さんも語っていますが、盛岡の街並みは

ほとんど変わっていません。つい先日も、バスに乗り

石割桜のある裁判所→擬宝珠のついた上ノ橋を通り

紺屋町→肴町まで歩き用事をこなして、買い物をして

中の橋を渡り、盛岡城跡公園前→明義堂(現仁王小学校)

前を通過し、盛岡駅まで戻ってくるルートを辿りました。

八幡宮と高松の池を通れば、もう壬生義士伝ツアーです♪

この街並みや通りに、たくさんの人の人生が刻まれていると

考えると、県庁所在地なのに、こんなにもコマコマして

面倒なこの土地に、なんか不思議な愛着がわきます(笑)


年末になると、渡辺謙さんの10時間ドラマを思い出します。

もう6、7年くらい前になると思うんですが、この本の口絵に

渡辺さんと浅田さんの隊士姿のツーショットお写真も♪

渡辺謙さんと並んで、小さく見えないってことは、浅田先生も

けっこう長身なんでしょうね~。そろそろ、盛岡では文士劇の

時期。高橋克彦さん、浅田さん、内舘さんなど、作家さんが

小さな劇場の舞台に上がります。地元人もチケット取れません!

年始あたりにBS放送されると思いますので、待ちましょう~。


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

◎地下鉄(メトロ)に乗って->読中ログネタバレ

◎中原の虹・第一巻->26ページ163ページ読了

◎中原の虹・第二巻->50ページ120ページ

◎浅田次郎 新選組読本->感想

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原の虹(二)150ページ

浅田さん、まだまだやってくれます!

今度は、日本に亡命した梁文秀と、妻・玲玲(春児の妹)の登場です。

しかも、子供がいる~。春児の甥っ子なんですね~。

だんだん相関図の線が繋がってきました!

隠居生活というか、あれだけの地位に居た人が、学校の先生なんて

環境の変化とか、そんなもんじゃ済まない、私なんかが推し量れない

大変な苦労だろうと思います。……でも、そもそも文秀は、高官に

なりたかったんだろうか……。白太太のお告げのまま、辿ったけれど

郷里に居た頃の、小爺は、そんなことを切望していたようには

全く見えない。ほいっと受けた郷試で、ひょいっと合格してしまい

その後、トントントンと階段を上がっていっただけのような気がする。

意外と、こんな小さな家で、あったかく家族と過ごすことも

彼の望みだったんじゃないかなぁ、なんて思いました。


紫禁城では、宦官たちが結束して、西太后と幽閉中の光緒帝を

繋ぐホットラインを開設(笑)いや、笑うところじゃないんだけど

世間に名の通った西太后の側近たち(地位も高い人たち)が

こっそり、西洋の機器に四苦八苦してる様を想像したら……(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原の虹(二)50ページ

届いてしまったので「推理小説」と平行読みです。

今回も、フィルムコートをお願いしたのでお風呂持ち込みOKですが

お風呂に持ち込むのは、どっちかというと文庫、内容もミステリーが

ちょうどいいような気がします。その上、二巻は一巻より少し厚くて

重いので、布団の中で寝る前に読むことに……。寝る前に広大な

中国に思いをはせると、壮大なイメージがあり、過酷な現実もあり

とても複雑です。浅田さんは、よく、この大地を、この歴史を書こうと

思えたなぁと、なんと表現していいやら、そう、畏敬の念を感じます。


帯や、講談社のHPには「西太后死す」とか「春児・春雷の再会」と

あおり文が書かれていますが、冒頭はアイシンギョロ・ヌルハチの

後継を巡る、一族の中の模様から描かれています。

都では、袁世凱と徐世昌という、聞いた名前の大物たちが

龍玉について、削除された書籍や、その経緯を話し込んでます。

全四巻で綴られる予定の「中原の虹」ですが、馬賊の張作霖と

アイシンジョロ・ヌルハチの時代が、どこでどう絡むのか

平行して綴られるのは、何のためなのか、勘ぐってしまいます。


それにしても……ヌルハチも張作霖も、都の外にいる勇者に

野望や野心は無く(無いように見せてるだけ?)、都の中の大物

たちが、それでもまだ野望や野心をむき出しにしているような

感じがするのです。皮肉ですね~。宮中とか地位のさだめ?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原の虹(一)読了

読了と言っても、ネタバレとか語れる感じじゃありません。

本の中身の話なので、ネタバレには違いないのですが

まだ、人も、運命も、歴史も、そう動いておりません。

……中国歴史物にありそうなパターンで、登場人物さえ

全部出揃ってるのか、あやしい……。主要人物とその配置

その繋がり、未だ見えない繋がりなどは、少しずつ分かって

きておりますが、この先、どう絡んでくるのか……。


中原の虹 第1巻
浅田 次郎
税込価格 : \1,680 (本体 : \1,600)
出版 : 講談社
サイズ : 四六判 / 313p
ISBN : 4-06-213606-6
発行年月 : 2006.9
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス


ヌルハチの逸話が導入された意味を、少し考えてみました。

最初は、子供の頭ほどもある金剛石「龍玉」の行方の話だと

思ったのですが、それだけじゃないのだと思います。「玉」

というよりは、血族を象徴するような何かなんじゃないかと

そんな気がします。「ダ・ヴィンチ・コード」の王の系譜みたいに。

想像しすぎかな、でもそんな魔物みたいな龍玉に、浅田さんが

こだわった書き方をするとは思えない、という一読者の期待(笑)


「蒼穹の昴」の春児の兄、春雷が白太太から、ものすごく壮絶な

卦を受けているのですが、なんとなく、このシーンは分かりました。

この人が、こんなにも荒れるのは、きっと……。今より話が進めば

そのシーンは、もっともっと辛く悲しい場面になります。見たくない。

唯一、白太太が死にゆく運命だった春児に嘘の卦を立てています。

春児の方が、この卦にあまり、拘らないとといいのだけど……。

私の期待(勝手な妄想)を、裏切ってくれるといいんだけど、でも

その場合は、私の想像以上に、苦しい場面になるんでしょうね。


ご近所のおばちゃんみたいに気さくな西太后、物腰柔らかな春児。

狂ったふりをして、機を伺う光緒帝。日本、ヨーロッパ、アメリカなど

各国の文化・情報・兵器・阿片など押し寄せる波から、取り残された

ような紫禁城。凍えるほど寒い原野で、義の為、仲間の為、新年の

粥を皆で食べる馬賊たち。まるで世界が違うような彼らが

どう出逢って、どう歴史が動いていくのか、全く想像つきません。


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

◎地下鉄(メトロ)に乗って->読中ログネタバレ

◎中原の虹・第一巻->26ページ163ページ、読了

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原の虹(1)163ページ

また、大物(私が「大物」なんて言っていいのか迷うくらいの方)が

登場してきましたよ。アイシンギョロ(愛新覚羅)ヌルハチ。今まで

ものすごい勘違いというか、思い違いというか、思いこみをしていた

ことに気づきました。愛新覚羅・溥儀や西太后は、映画や小説など

なんとなく手の届く歴史の範囲内の人物とは思っていたのですが

ヌルハチに関しては、おとぎ話とか、伝説の範囲の人物だと

思っていたんです。秀吉が明国攻めをした時代の方なんですね。

今期の大河ドラマで、秀吉や家康を、ヒーロー伝とかではなく

実際に日本の歴史を作った人物として身近に考えられるように

なっていたので、その時代、満州を駈けていた人物ということで

またヌルハチも少し身近に感じられるようになったと思います。

満州という言葉についても、なんだかイメージ違いをしていました。

やはり、日本が戦地にしてしまった土地というイメージの方が

強くて、中国にとっては「日本の沖縄」以上に、特別の想いの

ある場所だろうと勝手に思っていたのです。もちろん、そういう

想いもあると思うけど、そもそもは「マンジュシュリ(文殊菩薩)の国」

に由来するマンジュ・グルン(満州)という素晴らしい名前なんですね。

浅田さんが、どうしてここに、ヌルハチの逸話を入れてきたのか

まだ、その意図は分かりません。でも、歴史を作った人たちの

姿の一部として、素直にでもしっかり心に留めておこうと思います。

それにしても、読めば読むほど、占いの白太太お婆さんが人

じゃなく、仙人か何かに思えてきます。ヌルハチの問いに答えた

声も、白太太と同じ声なんじゃないかと感じました。神様でも

人でもないなら、仙人なのかなぁなんて。私の勝手な想像です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原の虹(1)26ページ

ついに、ハードカバーの新品をお風呂に持ち込みました(笑)

オンライン書店bk1さんにて、フィルムコートをしてもらったので

湯船に落とさない限り、水濡れ対策は大丈夫です。うしし。

なんて、まだ26ページなんですが、これにはわけがありまして

……いえ、読んだ方なら、この26ページで何が起こったか

どれ程の衝撃を受けたか、察して下さることでしょう。皆様

この26ページまで読んで「蒼穹の昴」の上巻か文庫の1巻を

めくったんじゃないでしょうか。そうせずにはいられない衝撃でした。

「蒼穹の昴」主人公、小李・春児の直ぐ上のお兄さんの登場です。

たしか、3人くらい兄さんがいて、上の2人は既に死んでて

下の妹と自分だけが、お母さんの元に残った。そうだよ

そういえばもう一人いるじゃんっ!!10年、どこに居た!?

ってな具合で、冒頭26ページで、既にやられてしまいました。

浅田さん、ホントに読者の心をガシっと掴む吸引力があります。

講談社さんもHPで、この26ページまで「立ち読み」させて

くれたら、1巻買うまで、こんなに時間かからなかったのに、ねぇ。

ってな具合で、現在「中原の虹」第1巻26ページまで読んで

10年前の「蒼穹の昴」の上巻に戻ってきたところでございます(笑)


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

◎地下鉄(メトロ)に乗って->読中ログネタバレ

| | コメント (3) | トラックバック (0)

椿山課長の七日間(オンライン試写会)

ヤフー!映画オンライン試写会。ダメモトで応募してみるもんですね~。

5000名と口数が多かったのでもしかしたら見られるかも、と期待は

していましたが、本当に「当選」の文字を見たときは、嬉しかったです。

たぶん、浅田次郎ファンの私に今年最後のご褒美だと思います。感謝。

以下、ネタバレです。


右脳タイプの私の場合、映画を見るのも、小説を読むのも

目から先の使ってる神経が同じなので、そう印象は変わらない

はずなんですが、浅田さんが伝えたかったことと、映画の

監督が描きたかったことが、大きく違ったため、小説を読んで

物語を知っていた私でも、全く別の種類の感動を味わいました。

泣けるシーンが全然違うんですよね。映像と音声の訴える力は

すごい。言葉が要らないシーンの威力が、とっても効果的でした。


西田敏行さん←→伊東美咲さん。西田さんは、長年デパートの

婦人服売り場を担当していた為か、だいぶ穏和な椿山課長。

伊東美咲さんは、よみがえったばかりのシーンなんかガニ股で

話す言葉も、オヤジっぽいというか、ホントに西田さんっぽく

美女とのギャップがチグハグで笑えました。快活で良かったです。

綿引さん←→成宮くんは、ホントに親子っぽく見えました~。

任侠な成宮くんもなかなかいいですね~。武田さんの事件に

ついては映画ではかなり違った解釈というか、物語になってました。

それはそれでいいと思うし、映画→小説を読んだ人にとっては

新鮮な気持ちになると思います。映画であんまり泥沼でもね……。

女王の教室から、二人の主役、伊東ひろとくん←→志田みらいちゃん。

そして、椿山さんの長男役の須賀けんたくん。3人の素晴らしい子役が

いなかったら、この映画は実現しなかったことでしょう。拍手。全然

違和感なくて、というか、映画の最大の泣けるシーンは、この子たちの

自分が突然死んでしまった悲痛な想い、大好きなお父さんが突然

いなくなって、別のお父さんが現れた混乱、純粋無垢な願いと感謝。

裏の無い、これこそ純真という、見事な演技だったと思います。


他にも、たくさん素晴らしい役者揃いで、マイルスのマスター藤村さんは

ほとんどセリフも無いところに、普通に自然にいらっしゃって、ホントに

あそこに、あのマスターのいるコーヒー屋さんが30年以上あるように

思えました。SACのマヤさん・和久井さんも、良かったと思います。

小説と違って、あんまり私情を挟まず、用件のみ淡々とこなしていく。

SACのマヤ・和久井さんと、マイルスのマスター・藤村さんを軸にして

オムニバス短編ドラマが見たい気がします。現代日本に色んな

ことを訴えることが出来ると思います。例えば、若年層の自殺者、過労死

飲酒運転事故の被害者、災害の被災者、闘病生活を送る難病患者。


小説を読んだとき、私が一番感銘を受けた知子さんとの話は

あんまりつっこんで描かれなくて、さっぱりしてズルズルしなくて

それも良い演出だと思いましたが、映画だけ見た方には、ぜひ

小説を手にとって、知子の独白を読んで貰いたいと思います。

でも、小説では無かった「二人のサイン」は、良かったですね~。

2~30年前のオフィスでは、携帯でもメールでもはなく

二人だけのサインを持っていたんですよね~。今からはじめるのは

こっぱずかしいけど、30年たって、自分が死んでから、奇跡のように

最後に残すメッセージとして、ものすごーく良かったと思います。

映画を見てない人の為に、ここはネタバレしません。感動シーン。

でも、絵柄は、伊東美咲さんと知子役・余貴美子さん。キラキラ~☆


結末が、小説とはだいぶ違います。どっちかっていうと

映画を見て→小説を読むの方がいいかもしれません。

見た人の感覚とか、受け取り方とか色々あると思いますが

私個人的には、映画=ハッピーエンド・ヴァージョン

小説=納得できるバッド(サッド)エンド・ヴァージョン

だったかなぁ、と思います。

最後、テーマ曲、コブクロでした。優しくてゆったりしていて

とても落ち着いた映画にあうバラード「あなたへと続く道」

エンドロールまで余韻に浸って、しっかり見させて頂きました。

ヤフー!さん、本当にありがとうございました。

ちょっと早いクリスマス・プレゼント、とても幸せでした~♪


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

◎地下鉄(メトロ)に乗って->読中ログネタバレ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

地下鉄(メトロ)に乗って(ネタバレ)

<-読中ログ


昨晩、サラ・ブライトマンの生ライブを見るために、Mステを

見ていたら、ちょうど映画「地下鉄に乗って」のテーマソングが

流れてきました。「あの頃は~♪」聞く人、読む人によって

「あの頃」は、それぞれ違う。巨大メトロの中を行き来する

たくさんの人たちが、抱える過去や現在の消えない苦悩。

地下鉄は、ずっとずっと昔から、その中を走ってきたんですね。


地下鉄(メトロ)に乗って (講談社文庫)
浅田 次郎
税込価格 : \580 (本体 : \552)
出版 : 講談社
サイズ : 文庫 / 313p
ISBN : 4-06-264597-1
発行年月 : 1999.12
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス


未だ、地下鉄の計画さえもない北国の田舎OLが感じた想いと

30年、40年地下鉄に揺られて、都心を作ってきた団塊の世代

ベビーブーム期の方々が抱いた想いは大きく違うと思います。

今まで浅田次郎さんの作品を読んできて、こんなにも不安な

気持ちで読み終わったのは、初めてです。大どんでん返し、

大円満、みんな丸く収まった、よかったよかった、という結末が

多かったもので、今回も、紆余曲折あって色々教わって、そして

ハッピーエンドに辿り着くだろうと安心しきって読んでいました。

逆でした。みち子は、最後にお母さんのおにぎりを食べて

自分の生を奪った。真次のお兄さんと同じように、自殺でした。

そして最後には、その記憶までも真次の中からも消えてしまう。

自分の心の中から、一番大事な人の記憶がなくなってしまったら

……想像するだけで、怖いです。不安です。この作品を映画に

しようと思った方がすごいです。引き受けた役者さんも強いです。

台本があって、舞台がある。でも、違う。人という不確定で

不安定な当たり前の要素を、全部そのまま描いた作品です。

成功する確証とか物事の正しさとか、正当な後ろ漬けが何もなくて

でもひたすら「自分らしく」生きてきた人たちの「想い」の物語です。


作家さんにとって怖いのは「書けなくなること」「感性が失われること」

「情熱が消えてしまうこと」なのかもしれません。読み終わった私が

感じたのは「この言葉に出来ない想いが消えてしまうこと」が怖かった。

だから、読み終わって直ぐPCに向かってます。

時間をおいたら言葉がまとまるかもしれない、でもこの想いは

失われてしまうかもしれない、だから今書かなくちゃいけない、と。

まともな読後ログは、心が落ち着いて、言葉がまとまったらUPします。


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

| | コメント (5) | トラックバック (1)

地下鉄(メトロ)に乗って(読中ログ)

文庫の帯のあおり文かインターネットの宣伝文句に「ファンタジー」と

書いてあって「浅田さんのファンタジー?」とトンチンカンな想像を

しておりました。ライトノベル好きな私にとって「ファンタジー」は

いつのまにか「剣と魔法の異世界冒険小説」になっていたみたいです。


「地下街から地上に出た途端、そこは30年前の東京だった」という

地下鉄に乗って」も、「やり残したことが多すぎる。死んでられるか!

でも戻ってみたらオヤジ→美女!?」という「椿山課長の七日間」も

現代日本をベースにして、自分が見られなかった「過去」と知るはずの

無かった「未来(先の世)」を垣間見た、浅田さんのファンタジーです。

浅田次郎さんの過去と未来ファンタジー2作揃って、この秋映画公開。

->地下鉄(メトロ)に乗って

->椿山課長の七日間


それは、当人だけが感じた不思議体験で、他人や読者にとって

あり得ない、信じられない世界。でも、毎日満員電車に揺られて

会社に着く前に既に「ストレス漬け」になってる、日本のサラリーマンに

とって、ファンタジーだけど、もしそうだったら……と、想像するだけで

少し救われるような、電車に乗るのがちょっと楽しくなるような、物語。


30年前、或いは取り返しのつかないあの日に戻ることができたら

自分は何をしなきゃいけないのだろう、何ができるのだろう、と考える。

何をするべきだったのか、それは現在まで個々が背負った後悔。


浅田さんは「過去に戻って後悔の種を摘んで、軽くなってしまえ」とは

絶対書かないでしょう。おそらく、背負った物がどんな物かを見せて

くれるだけなのだと思う。そして、父母や、祖父母が背負ったものも

見せてくれるんじゃないかなぁ。そして、心を決めて進むのは自分。


浅田次郎作品過去ログ

◎鉄道員->ネタバレ

◎天国までの百マイル->ネタバレ(其の壱其の弐

◎壬生義士伝->

ネタバレ(其の壱其の弐其の参其の四其の五其の六其の七

◎椿山課長の七日間->読中ログ1読中ログ2ネタバレ1ネタバレ2

| | コメント (0) | トラックバック (0)