喪の女王(5)流血女神伝
表紙、芸術作品と言ってもいいくらい、良い出来ですね~。
いやぁ、こういうの好きです。フードの中から宝石のように
光るエドの目は、本当に獣のようで、ただ必死に生きることを
求めている。それに真向かうサルベーンの瞳は、人の目です。
神の側にありたいと思い、でも答えてくれない神に対し
憤りを覚え、今度はシリク(エド)を倒し、女神(セーディラ)を
実力で奪おうという、人の欲、生きる姿、そのものだと思います。
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喪の女王 5 (コバルト文庫 流血女神伝) |
信仰とは何だろう……、神とはなんだろう。ザカルエフィとして
世界の舞台に押し上げられ、たくさんのものと向き合ってきた
カリエ。傭兵王の子供として生を受け、カリエと旅し、いつも
実力で這い上がってきたエド。亡国の皇女と、傭兵王の子供と
いう、ものすごーくロマンチックな立場とは裏腹に、兄妹のような
二人の間には、恋愛はなく、ただ信頼にのみ成り立っている。
エドもセーディラをまるで我が子のように守り、その心力と
培ってきた実力で、とうとう師であるサルベーンに打ち勝つ。
さて、サルベーンはこの後、どうなるのだろう。彼の場合、死の
鳥が現れたら「やっと会えた」と、喜んでついていきそうだけど
たぶん女神も須賀さんも、そうはさせない。きっとまだ続く。
ラクリゼに一発ぶん殴られれば、たぶん目が覚めるはず(笑)
ガンダルク、タイアーク、リトラ。3つの王宮では色んなことが
蠢いていて、ここから最後に辿りつくまで激動になりそうです。
戦況的にはバルアンの勝ちが既に分かっています。どう勝つか
勝って何を失うか……。ルトヴィアはどうなるのか、あれほど
頑張っているミュカはどうなってしまうのか。危篤というドーン。
ここで、このタイミングでグラーシカが戻れば、彼女も危ない。
--そう、カリエは、ネフィシカの元にいるのが一番安全。
でも、たぶん逃げ出す。ドーンの元へ行くのかな、行きそうだな。
ミュカは既に皇位継承権を失っている。ドーンに皇子はいない。
せめてもう一人、皇帝が必要なんです。カリエ自身も驚くほど
その身体は未だに少年のような姿のまま……。アルゼウスは
失踪扱いのまま--。もしかしたら、これは返り咲くかもしれない。
もしかしたらエドも、遠い昔思い描いた最高の地位に辿り着けるかも
しれない。なんか、ものすごい方向に物語が動くかもしれません!
◎須賀しのぶ作品感想ログ
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