(小説)佐賀のがばいばあちゃん
さすが、漫才師さんの造る文脈は、流れるように円滑。
言葉の影に色んな事をにおわせておいて、わざと書かない。
今、学校で「道徳」の時間があるか分かりませんが
無ければ、「国語」にでも取り上げて欲しい題材だと思います。
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佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫 |
色んなところで、何度も同じことを書いておりますが、小説は
読む人の立場や気持ちによって、読みとる内容が人それぞれ
考えることも十人十色なので、これが正解で、あれが間違いとか
ではなく、たくさんの人の意見を聞いて自分なりに考えることが
大切なのだと思います。だから、私も素直に、私の感性で
受け取ったことを書きます。ばあちゃんは、そんなキレイ事を
言ってるわけじゃない!という、ご意見もあろうと思いますが
それは、あなたのブログで書いて、トラバを張り付けて下さい。
私もあなたの感想を読みに、お邪魔させて頂きます。
私が読み終わって感じたことは「品位」「品性」「品格」という
「品」に関わる言葉でした。「国家の品格」とか「派遣の品格」とか
最近、良く耳にする言葉ですが、今の世の中には「品が無い」と
表現するのにピッタリなことが溢れていて、常に私も自分の
品位のラインを持とう、保とう、向上させようと考えてますが
考えれば考えるほど「あれ?私の品位って何?」と立ち止まる。
がばいばあちゃんは、その芯が自分の中でしっかり通ってるから
揺らがない、ブレない、迷わない。この強さ、美しさが、それだけで
ばあちゃんの品だなぁと思いました。
「品がある=セレブ」ではないんです。現代人の間違いどころ。
ばあちゃんは貧乏だし、貧乏であることを隠そうともしない。
貧乏だけど、どんな突然の来客に対しても嫌な顔せず
家紋入りの長持からビールを出して、景気良くふるまう精神。
かと思うと、ほとんど漫才で、公共料金の集金員を帰してしまう。
この2点だけでも、私はどちらも真似できないなぁと思う。
突然の来客なんて、嫌な顔で追い返してしまいたくなるし
公共料金の入金遅れなんて、今まで一度もありません。
そうですね……夢の為、夢を持ち続ける為、夢の道具の為と
言いつつ仕事してお金貯めてきましたが、ホントの理由の半分は
夢じゃなくて、公共料金や税金を支払う義務の為なんですよね。
義務だから払って当たり前なのだけど、なんというか心構えが
ばあちゃんとは異なっていると漠然と感じます。世間やいわゆる
上様のブラックリストに載るのが怖いとか、みっともないとか……。
ああ、そうですね。ばあちゃんは、日本人の義務である「教育」に
ついても、あっけらかんと「過去にはこだわりません」とか言った方。
そうか、ちょこっと見えてきました。ばあちゃんは余所様が造った
「義務」に縛られない分、自分が決めた「礼節」に厳しいんですね。
だから、ばあちゃんが望むことは、この本を読んでばあちゃんの
生き方を真似ることではなく、一人一人が自分らしい生き方をすること。
私は、こんな風に受け取りました。
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