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椿山課長の七日間(ネタバレ)

私の予想なんか、浅田次郎さんの作品の中では、おはじきのように

パチンとはじかれて飛んでいってしまう程度のものでした。いえ、もう

そりゃ、おはじきにも失礼ってくらい、安易な想像でございました。

雄ちゃんの両親は、椿山課長と知子さんじゃないかと思ったんです。

・・・ごめんなさい、あんまり安易な例えでした。

この作品の中で「おはじき」なんて言葉を使うと、違う物になりますね。

因縁があったのは、どっちかというと、武田親分と雄ちゃんの方で

それにしても直結ではなくて、当人たちはSACに戻って別れるまで

本当に何も知らなかったんでしょう。武田親分は、椿山お父さんから

下行きの長いエスカレーターでお話を聞いているかもしれませんね。

椿山さん自身は、死にきれない未練があって現世に戻ったんだけど

そこで見たのは、自分の人生が、実はけっこう波瀾万丈だった真実と、

だけど、よくよく思い返してみると、父や知子、妻や子、そして会社の

みんなに支えられた、悔いのない真っ直ぐな人生だったと思い当たる。

デパートのとんでもない数値のバーゲン売り上げ目標を、最初の

4日間で110%越え、おそらく最終日には150%いくでしょう。

嶋田さんの「弔い合戦」という言葉が、とても意味のあるセリフでした。

妻と不倫の関係にあり、部下でもあった彼の言葉には、彼にしか

分からない、言えない、その苦悩が込められていると思います。

・・・陽ちゃんのこともあるし、私が察するには、余りあります。

合戦の敵というなら、大手デパートなんでしょうけど、この場合は

無理難題な売り上げ目標金額が敵だったんじゃないかと思うのです。

誰が見ても、人がいいばっかりの椿山課長の「過労死」なんだから。

職員、パート、メーカー担当者が、お通夜や葬儀より目に見える形で

見せることは出来なくても、心を返したかった。7日過ぎたら椿山課長の

おうちは献花とお線香の香りで、いっぱいになるほど、報告の人が

次から次に来るんじゃないかと思います。知子さんも言っていたけど

デパートというより、戦場という感じを受けました。それだけみんなが

本気で戦っているということなんだけど、それに比べたら、今時の

任侠世界の親分たちの方が、なんか勢いに欠けるというか・・・。

3人が3人とも、同じヒットマンに依頼して、それぞれを殺そうとした

なんて、ギャグマンガですか。でも、自分たちの手で殺すことだけは

できなかった、その苦悩だけは、汲んでおきます。普通のカタギはね

殺したいほど憎たらしくても、本当にお金払って殺したりしないの。

せいぜい無意識下で生き霊を飛ばす程度。普通の心を磨きやがれ。

(最近、学生が友達に母親の殺人を依頼した事件もありましたが・・・)

そのとばっちりを受けて死んでしまった武田の親分は、自分の

養い子たちの顔を見ながら、親分たちに話を聞いて回って

最後に大事な子供を殺人者にしないために、規則を破る。3つ全部。

人にとって死ぬことは怖いことだけど、SACにとって同じくらい

怖いことは、下行きのエスカレーターなんでしょうね。だから

マヤちゃんが何度脅しても、武田親分は最初から怖くはなかった。

雄ちゃんは、自分だけが幸せになることに罪の意識を感じていて

「こわいことになる」より、大事な陽ちゃんやおじいちゃんに

ウソをつくことの方が嫌で、全部話して、お父さんとお母さんに

「ごめんなさい、ありがとう」を言うことができた。その対面に

心血注いで、陽ちゃんにも「恨むな、憎むな、感謝しろ」と教えて

椿山お父さんも天に召される。それどころか、SACに戻った

雄ちゃんを救うために、また走り出す。世の中の不幸どころか

陰界の不幸まで全部自分の責任として、背負って下りていく。

最後まで、最後の後まで、妻を愛してると言えなかったことだけを

後悔して、息子に託して。・・・一番書きたかったことを、実は

まだ書いてないのに、こんなに長くなってしまいました。→続く!

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