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火の粉/雫井脩介

雫井さんの小説は「犯人に告ぐ」に続いて2冊目です。

もう1本ドラマで「虚貌」という作品も見ました。これも良かった。

事件や事故、私たちの日常とは、なんとなく離れたところにある

気がしている事実を、実はいつでもすぐ側で起こりうることなんだと

認識させてくれる作家さんです。

先週、その前かな、スマステの映画ランキングでゴロウちゃんが

映画「サイレント・ヒル」は全く怖くない、怖いのは日常生活の中で

起こること、ということを話していました。その通りだなぁと。

「サイレント・ヒル」はゲームとしてプレイヤーが最初から

別世界を認識して、自分で疑似体験するから怖いのだと思います。

映画になれば、客観的目線になるから、恐怖の度合いは小さい。

そういう点で、ゴロウちゃんが1位に選んだのが「日本沈没

こちらも読みたい。映画も気になる。大好きなクサナギ君と

柴咲コウちゃん。↓ここから、ようやく感想(多少ネタバレ)です。

火の粉 (幻冬舎文庫)
雫井 脩介
税込価格 : \800 (本体 : \762)
出版 : 幻冬舎
サイズ : 文庫 / 577p
ISBN : 4-344-40551-X
発行年月 : 2004.8
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

物語は冤罪の裁判から始まります。事件のあらましが客観的に

説明され誰がどうみても「冤罪」、無理矢理起訴してきた警察や

矛先の違う憎悪を放つ遺族の姿の方が印象悪く感じられる。

裁判長・梶間勲は無罪判決を言い渡し、実母の介護を理由に退官。

その後の高裁もやはり無罪になり、容疑者・武内は自由になる。

退官した勲は大学で法学の教員となり、その一般講義に武内が

現れ、二人は挨拶を交わす。その後、勲のお願いを受ける形で

武内は生徒の前で「冤罪の体験談」を語る。その武内が、偶然に

勲の隣に引っ越してきて、普通にご近所つきあいが始まる。

仕事をしている勲よりは、妻や司法試験の勉強中の息子と

より親密になっていく武内。何か腑に落ちない、息子の妻。

550ページを越す文庫の真ん中あたりまできても、まだ

「この物語、本当にミステリーなの?」という雰囲気の穏やかさ。

それが、後半に突入すると、色んな人の思惑がいりまじって

「やっぱり、冤罪?気のせい?でも、やっぱり、少し気になる?」

どうにも不安な空気。完璧に疑うことも信じることも出来ない。

やはり話の発端は、最初の「冤罪になった事件」ようやく勲も

その確証を得るために動き出すが、そうする内にも家族が

得体の知れない毒に飲み込まれていく。時刻表も、密室殺人も

トリックは全くない、普通に日常と隣り合わせの不気味な物語。

読後の不気味さで「手放したい」と思った本は初めてかも。

文面はとても穏やかなのに、続きを早く読みたいと思わせる

雫井さんの文章はものすごーく上手い。本当に上手(うわて)です。

もう何冊か読んでみて、その書き方、勉強させて頂きます。

さて、次の半身浴の本は何にしようかな~。

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レベル7/宮部みゆき

軽い睡眠障害がありまして、朝起きるとものすごーく疲れてるんです。

身体がガチガチで、ストレッチしないと歩けないし、朝食のお皿も持てない。

それを会社で話したら「半身浴いいよ」とすすめられ、ちょうどテレビで

「お肌にも良い」という健康番組の実践レポを見ていたのも有り

半身浴で読書に挑戦!と決意。だがしかし、読書好きの上に

自他共に認める神経質な私には、本が濡れるかもしれない状況は

ものすごーく許せない。打開策として、お風呂に持ち込むのは古本で

尚且、暑さに耐えられるように「ミステリーにしよう♪」と

積読の山(未読の本)を探したところ「レベル7」が出てまいりました。

手を拭く用、本を守る用と2枚のタオルを用意し、いざ入浴。

汗をかきメイクのノリが良くなり、睡眠障害も半分程度になり

読まずに積まれていた本も片づき、一石三鳥です!

新しいタオルやボディーシャンプーなど欲しい物が増えたりして

生活に新しいエッセンスが増えた感じもあり、良い兆候♪

さて、前置きがだいぶ長くなりましたが↓より感想ログです。

レベル7 (新潮文庫)
宮部 みゆき
税込価格 : \900 (本体 : \857)
出版 : 新潮社
サイズ : 文庫 / 665p
ISBN : 4-10-136912-7
発行年月 : 1993.9
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

目が覚めると自分のことが何一つ分からなくなっていた男女。

知り合いの女の子が行方不明になってしまった、とある親子。

二つの視点から、謎解きが始まります。一方は自分を取り戻す為。

一方は行方不明の女の子を捜し出すため。この二つが

いずれ絡むことは分かっていても、なかなか接点が掴めない。

ようやく繋がったと思ったら、親切なんだけど閉鎖的な街の病院。

そこから話は一気に大きくなります。数年前の事件。

更にその前のビル火災。病院で栄えたとある街とリゾート問題。

過去に埋もれた真実の証拠を掴むため、逮捕も覚悟した復讐。

・・・エンジンがかかると面白いミステリーなんですが「火車」

あの不気味さ「パーフェクト・ブルー」の人の狡さなどを知っていると

もう一歩・・・と感じてしまった作品です。謎解きのナビになる

三枝さんが、もう少し読者にとって悪者でも良かったかなぁと・・・。

そうできる人ではないから、この物語が成り立ってるんですけどね。

どんでん返しが途中からゆっくり見えてきてしまったという感じでした。

次の半身浴読書もミステリーでいきます。火の粉/雫井脩介。

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未来

昨日のこの時間は、ライト(デスノート)のことを
ずっと考えて、テキストエディタでまとめてたんですが
その24時間後、自分の生死について考えてるなんて
夢にも思いませんでした。テポドン2号失敗ですか!?
いつ、どこに落ちるかわからん代物なんですか!?
実験なら、しっかりきっちり狙ってやって下さい。
運良く、たまたま、生きてるんですよ!冗談じゃない!!
人の命を何だと思ってるんだ、とんでもない国だ!

こんな恐ろしいことがあったのに、私たちはいつもと
変わらず生活している。スーパーに買い物に行って
ATMからお金をおろして、あるいは積立貯金して。
本当に、明日のことも分からないこの危機的状況に
…これこそ、ホントに平和ボケなんでしょうね。

あの国のこと、それに対する国連や国の対応のことは
私が考えても意味が無い。というか、考えることには
意義はあるのだけど、それより先に自分のことを
考えたいと思います。未来が断ち切られてしまうかもしれないから。

ホントに少し(少しどころではない?)リアルになったので
「死ぬまでにしたい10のこと」考えてみようと思います。

1.読めるだけの本を読む、映画を見る
2.電子ピアノを買う、そしてたくさん弾く
3.中途半端になってるペン字を少しでもやる
4.それなりの資格を取ってSEに戻る
5.10キロやせて、モデルさんのようなスーツを着る

・・・なんだか夢の話になって楽しくなってきた(笑)
緊張と不安による、思考回路異常かしら。

6.命をかけられるような恋愛をする
7.後悔してることを可能な限り本人に会って謝る

以下、思案中。寝る時間も惜しいほどたくさんありそうです。
実は生きてることに、それほど執着はないのですが
生きてるうちにやりたいことは意外に多いみたいです。

私には、どう生きるか悩んで選ぶ権利がある。
北朝鮮の一般の女性にそれはあるんだろうか。
考えなくちゃいけないこと、知りたいことたくさんある。
ミサイルが飛んできませんように。
もうミサイルが発射されませんように。
戦争が始まりませんように。
皆が己の将来を選べる未来が、早く訪れますように。

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DEATH NOTE(12)

最終巻。終わりまで辿り着いて、私が何故、Lやニア・メロの
目線ではなく、ライトの目線で読んでいたのか気づきました。
キラが私の中にいるからです。
今の世の中、真面目に頑張った人が報われない。
優しくて、真面目な人が報われる社会、キラの世界を
私が望んでいるから、ライトの目線になって読んでいました。

この後、ネタバレオンパレードですので、お気をつけ下さい。

Death note 12 完 (ジャンプ・コミックス)
大場 つぐみ原作/小畑 健漫画
税込価格 : \410 (本体 : \390)
出版 : 集英社
ISBN : 4-08-874131-5
発行年月 : 2006.7
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

キラの望む未来の為に、おそらく自分も殺されることを
理解していただろう高田。その高田をキラの未来の為に
消すことは出来ても、自分とキラを天秤にかけた時
結局は自分が勝ってしまった魅上。ただ、Lの仇を
とりたかったニア。ニアに負けたくなかったメロ。
たくさんの想いが交錯して、私もだいぶ混乱しました。
ライトの最後の姿。すごく惨めだった。
だけど、回想シーンのリュークと出逢った時のライト。
あれが、本当のライトだったんです。お父さんの言った通り
悪いのはノートの存在。(本当に悪いかどうかは別の話)
それを手にしてしまったのが、ライトだったということ。
そしてライトは自分なら世界を変えられると悟ってしまった。
けど、人を殺した重圧で精神的に潰れそうになり
辿り着いたのが「神になる」という大義名分だった。

このマンガを読んでいて「新しい世界の神になる」という
ライトの口癖というか、目標が、なんだかしっくり
こなかったのですが、最後まで読んでようやく分かりました。
ライトはその目標に辿り着くことを決めた(覚悟した)んです。
そうでなければ、ライトには殺人はできなかった。
ライトがLやニア・メロのように、己の世界で
己の考えだけで生きていけるタイプの人間ではなく
ライト自身が、他者と関わり、他者と生きることを望む
当たり前の普通の人間だったから。人間は、傷つけ合い
憎み合う。本当に怖いものは、死神や死のノートではなく
人だということを良く理解していたから。
人が怖かったから、だから人が怖くない人の世界を
作りたかった。それが望みだった。神になるというのは
ライトの本当の意ではなく、辿り着くため自分に
打った楔(覚悟)だったのではないでしょうか。

なんて、かなりライトよりの考え方ですが・・・
でもね、ラスト6ページ。あれはこの物語全体の
皮肉であると同時に、キラの考え方を本当に
望んでいた人の想い。やましいことがある人には
恐怖の数年だったかもしれない、けれど真面目で
心優しい人たちにとっては「平等な世界」だった。
それが崩れて、また元の世に戻ってしまって
犯罪が起きて、警察が頑張って、裁判で裁かれる。
このサイクルが戻ってきて、キラの世界を望んでいた
人たちが、ようやく自分で考えたんです。キラが
望んでいた理想の社会を。そうしたら、自然と
いつの間にか、信仰心が生まれていて
人に想われることで、ライトは神になっている。
そう、信仰されているのは、キラの仮面をつけて
「神になる」と自分で心を凍らせたライトではなくて
純粋に優しい真面目な人が報われる世界を望んでいた
本当のライト。キラにとっての目標点「神」は
自分が決められる場所ではなくて、周囲が慕う人のこと。
「理想とされる思想」崇高ですね。でも死んだキラは
その理想を裏切ることはないし、人の中に芽生えた
キラ信仰という理想は、その人の心が折れない限り
崩れることもない。ただ、このキラ信仰には欠点が
ありまして…赦すことを認めないといけませんが
そっちの話は、キラ教の皆様にお任せ致します。

2回、読み終わって、まだドキドキしてます。
小畑先生の絵は、すごく訴える力が強くて
「ヒカルの碁」が終わってしばらく、4巻くらいまでは
「デスノート」が手に取れませんでした。
今度もたぶん、そうなるんだろうなと思います。
…っていうか、29歳OLそろそろジャンプは卒業したい。
いや、でも、やはり物語好きとしては、これからも
良い物語、衝撃の物語は読み続けるだろうと思います。

自分で最初に綴った言葉ですが「私の中にキラがいる」
これって、意外とホントに真の信仰の姿なのかもしれません。

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