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天国までの百マイル(其の壱)

私が初めて読んだ、浅田次郎さんの長編小説です。

これも泣かされました。小説も映画も2時間ドラマも泣きました。

2時間ドラマの方は、安男・西田敏行さんとマリ・室井滋さん。

映画の方は、安男・時任三郎さんとマリ・大竹しのぶさん。

天国までの百マイル (朝日文庫)
浅田 次郎
税込価格 : \500 (本体 : \476)
出版 : 朝日新聞社
サイズ : 文庫 / 293p
ISBN : 4-02-264248-3
発行年月 : 2000.11
@niftyBOOKS~アット・ニフティブックス

浅田作品には、二人のマリア(聖母)がいるのですが、その一人が

このキャバクラ・マリ。もう一人は救急救命ナース・阿部マリア。

「そのうち、もうすぐ、ふっと良くなるの」何のことだか意味不明な

マリの確信に満ちた言葉が、どんどん現実味を帯びてゆく・・・。

安男にとっては、自分の世話を全部してくれる恩人であるばかりか

最後は、安男の為に身を消してしまう、本当の聖母マリアでしたが

そんなわけはなく、マリはそこに生きて、安男を愛する為に

色々考えて、奥さんに啖呵切ったりして、泣く泣く身をひいた

ホントはとっても切ない立場の女性。でも、未練を残さなかった!

この作品を見て、室井さんも大竹さんも、なんて器の大きな女優さん

なんだろうと感激しました。何気ない表情・仕草、その一つ一つに

指先までマリが乗りうつったように、天真爛漫で不可思議で。

ダメ男、安男は、自分のこと、母のこと、妻のこと子供のこと

色々抱えているはずなんだけど、なんだか全部疲れてしまって

マリにおんぶにだっこ状態。母親を百マイル自分で搬送することになって

どうしようもない心から、自分がやらなきゃという意志が目覚めていく。

ワゴンの窓を内側からテープで目張りして、布団を乗せて

途中、借金取りからお金を借りて。この借金取りは、映画もドラマも

安男より若い兄ちゃんが演じてましたが、母親をワゴンで運ぶ姿に

同情しただけではなかったと思います。お財布ごと渡すことで

「なんとしても、ちゃんと責任もって送り届けて、そしてちゃんと返せ」

と、言葉にも文章にもなってないから、確かだとは言えないけど

見えない情という責任を負わせて、安男をダメ男から

引っ張り起こそうとしたんじゃないかと...感じました。

ワゴンに揺られて辛かったでしょうお母様も、口では「大丈夫」と言いつつ

身体は痩せて軽くなり、お刺身も2切れしか食べられず、百マイル無事に

走破できるのだろうかと気が気でない。遠い昔の記憶を振り返るシーンなんか

入ると読者心理として、やっぱりダメなんじゃないだろうかと怖かったけど

でも、あのお母様なら、絶対、気力でワゴンの中では死ななかったと思う。

お母様は「がんばれ」とか「なにやってるの」と、安男を叱ることはなく

逆に、安男の視界には薄情に映っている、兄妹のことを「おこらないで」

「にくまないで」と、安男の心を見透かすように、後部座席から訴える。

安男の空虚だった心に沸き上がる、憎しみや憤り。感情の強さで言えば

けっこうなパワーだったと思うのです。でもお母様は自分のことなど

構わずに訴えるから「分かった、分かった、もういいから」と気持ちを

引っ込めざる得ない(苦笑)でも、そうしてちょっと落ち着いて考えてみれば

兄妹たちは、自分が守れなかった家庭を必死に守っているのだということが

だんたん見えてくる。そこにきてようやく、自分の家族を思い始める。

・・・ダメですね。1回でまとめようとしたんですが、もう少し書けそうです。つづく

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コメント

私も泣かされました。
わたしの勝手なキャスティングは
安男・・・内藤剛志
マリ・・・渡辺えり子
でした。

投稿: ベリー | 2005年11月19日 (土) 19時45分

「きんぴか」と「プリズンホテル」に少し登場する
ナース阿部マリアは、渡辺えり子さんピッタリですよ!
たまたま、ホテルで一緒になったヤクザさん相手に
「殺した数?私なんて5千人よ!」って
ヤクザさんを改心させてしまうのです・・・。

投稿: 菜ノ花 | 2005年11月20日 (日) 00時28分

私もやっと読みました。
やっぱりちゃんと感動しちゃいました。
泣けるのに読後に清々しい気持ちになれたいい本でした。
またお勧めの本があったら紹介して下さいね。

投稿: 株なでしこ | 2008年9月 4日 (木) 01時33分

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天国までの百マイル朝日新聞社このアイテムの詳細を見る 天気  ときどき 浅田次郎 著 : 天国までの百マイルを、読みました。先日ご紹介いただいて、読んだ【王妃の館】が大変面白かったのでジロさん作品第二弾ということで、読んでみました。バブルがはじけて、お金も、家庭も、何もかも失ってお情けで紹介された会社に、勤めるサラリーマン安男(やすお)の物語。社長だった時分には、豪遊を極めていた安男は、今では�... [続きを読む]

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